治まり形を得ていない左下の白ですが、二眼確保に汲々とするのではなく、逆に黒の肺腑をエグる白１のオキという手筋があります。これで攻守逆転――白が存分な効果を上げることができます。

黒１のツギなら白２とハッて、黒３のオサエに白４と切ります。黒５、７の時に白８と切って10とアテれば、カナメの二子を取ることができ堂々の脱出。もちろん白の大戦果です。

黒１のツギなら白２、４と出切り、それから６、８、10とハイます。黒11までと換わってから白12と隅をハネれば、隅の攻め合いに勝つことができ、黒八子を手中にして前図以上の白大成功！

白１とカドに外す手はを動き出す際の手筋ですが、対して黒２、白３ののち黒４とアテて出ていくのは俗筋です。白９まで中央を制圧され、黒がかなり苦しい碁形となってしまいました。

黒１のトビが手筋。対して白ａなら黒ｂでシチョウなので、ａの穴を気にする必要はないのです。となれば黒１と一歩先に進むことの意味は大きく、次図で見るような効果を上げることができます。

白１、３に黒４とツナぎ、白５を強要します（手抜きなら黒５のシチョウ）。中央の白勢力の規模をテーマ図より大幅に縮小させ、黒６に先着できるスピード感にも満足できます。

左辺黒を進出するのにａのトビだと白ｂに受けられ、上辺白の構えが立派です。そこで黒１のツケが手筋！ 飛躍し過ぎと映るかもしれませんが、白にも弱点があるので心配ありません。

白１の出には黒２の切りを用意しています。白３、黒４に続いて白６なら黒５のシチョウが成立するので、白は５がやむなく、黒６、８で隅の白二子を大きく取り込むことができて大成功。

白は１とツナぐくらいなので、黒２、白３に続いて黒４と構えます。上辺の白に低位を強いつつ自身は余裕のある姿を得て充分な結果。白３でａ、黒ｂ、白ｃなら、黒ｄとツケる手筋で互角以上に戦えます。

左下はＡＩ発の難解定石ですが、下辺の白三子にはまだ充分な味が残っています。それを具体的手段として決行したのが白１のオキで、黒２とワタリを拒否してきたら白３、黒４に続き――、

白１の出から３のハサミツケで、存分なサバキを得ることができます。このあと黒ａに出られたら白ｂと切り、があるので黒ｃに白ｄで仕掛けてきた黒を取ることができます。

黒は１とツナぐよりないので、白２とワタってサバキ形。黒３で高圧してきたら白４と押して反発し、黒５、７に白８と飛んで中央進出。下辺の荒らしに成功して充分な成果です。

すべての勝負事において、勝ち続けている人、勝率の高い人ほど、鉄壁とも言える「終盤の強さ」を有しています。囲碁もまたしかりで、中盤を終えた時点で10目ほどリードされていたとしても、確かなヨセの技術があれば逆転は充分に可能と言えるでしょう。そのための技を磨く問題集が『ヨセで打ち勝つ最強手筋』です。実戦で出現しやすいヨセの手筋が網羅されているので『盤石の布陣を築く不滅の必勝手筋』のご購入記念プレゼントとして、ぜひご入手ください。

白地を最大限に減らす最も効果的なヨセの手段は？

黒１から３のオキが最善の手筋です。白は４とツナぐよりないので黒５から白８まで、先手でヨセることができました。黒３でａとアテると白４、黒５、白６となり、黒aが生還できず２目の損です。