中盤で相手の大石を仕留めての大勝が、囲碁の醍醐味のひとつであることはもちろんですが、序盤から理知的に実利面で優位を築き、そのままサラサラと中盤と終盤を乗りきって勝ちきる――これまた会心の勝利というものでしょう。
　『実利で勝つ！小目布石の必勝戦法』は、こうした「わかりやすく勝ちたい」という囲碁ファンの皆様の願いに応えるべく作られた、全６巻からなるＤ�XＤ講座です。
　そして実利面でのリードを築くのならば、最も地にカラい小目が最適。「小目は私の得意布石でもあります」と語る囲碁界ナンバーワンのカリスマ講師・石倉昇九段が、その明朗な語り口調で、あなたの必勝戦法確立をサポートいたします。

本巻では実利志向の代表的布石である、黒の「小ゲイマジマリと小目の組み合わせ」を徹底解説。
まずは白の一間高ガカリに対しツケ引いた型がテーマです。

前巻に引き続き、黒の「小ゲイマジマリと小目の組み合わせ」を解説しますが、本巻では黒のツケヒキに対し白が堅くツナぐ型と、ナダレ型がテーマです。

「小ゲイマジマリと小目」における、実戦で即使える新しい型の解説です。白の一間高ガカリへの黒のハサミ、白の大ゲイマガカリ、小ゲイマガカリなど。

本巻の第２講から「小ゲイマジマリと小目の組み合わせ」を離れた、その他の小目布石――「秀策流」と「ミニ中国流」がテーマとなります。

布石上達のコツは「すでに打ってある自分の石をいかに活かすかを考える」こと。本巻はその「配石活用術」にこだわった、ワンランク上を目指す内容です。

対角線の空き隅を占め合う「タスキ布石」は、模様の張り合いではなく、局面を細分化して戦いに持ち込もうとする積極的作戦です。その心得を完全伝授。

【１図】　白４のカケツギに対し「あまり見かけないかもしれませんが、黒５といっぱいにハサむのが、成功確率がかなり高い積極策です」と石倉九段。

【２図】　白１のケイマに黒２のツケが後続手段。白は３、５から７のカケが手筋ですが、黒８の抜きが好手で、白ａなら黒ｂ、白ｃ、黒ｄと出切って黒成功です。

【３図】　白１のツギなら黒２、４の切り取り。白５のアテに黒６と出て から８とツナギ、白９にバッサリと黒10の切り。黒に不利は考えられない戦いです。

【１図】　白の大ゲイマガカリに対し黒ａだと、白ｂで上辺のミニ中国流が平坦になってしまいます。従って黒２とハサみたいところで、白３のトビなら――、　

【２図】　黒１、白２ののち黒３と背後をトブのが、部分的な常識にとらわれない有力な構想です。白４、６に黒７、９とツケノビて、右上の模様が立体的になりました。

【３図】　例えば黒１の受けは常識的な一手ですが、この配石では疑問手。白２のカケから10までとされ、上辺の模様が発展性に乏しい姿とされてしまいました。

【１図】　黒１のカカリに対する白２のコスミはじっくりと打つ志向。ここで「黒３のシマリからの実利作戦がオススメ」と石倉九段。白４のハサミには――、

【２図】　再び左上を手抜きで黒１のシマリ。白２に黒３、５と下辺に展開すれば、にはまだ黒ａとする生きが残っているので、確かな実利先行が認められます。

【３図】　黒１と動くと、白２から８まで主導権を握られます。「左上の石数は１対３で黒が不利な所でしたから、動いても良いことはありません」と石倉九段。