囲碁は決まりごとが少なくシンプルですが、奥が深いゲームです。自分や相手の判断次第で多様な変化が生まれるため、誕生したといわれる約四千年前から、ずっと同じルールで楽しまれているのもすごいところです。
　囲碁に興味はあっても、「頭が良くないからできない」とか、「考えるのが苦手だから無理」だとおっしゃる方もいるようですが、そんな心配は無用です。囲碁の勉強で大事なのは「レベルに応じた知識を得る」ということと、「目や頭を慣れさせる」ということなのです。
　本書では、囲碁のルールやテクニックなどをレベルに応じて少しずつ、わかりやすく解説しています。１日に覚えることや、新しく出てくることは少しだけなので、一度にたくさんのことを覚える苦労は不要です。また新しいことが出てきた後は、必ずそれに関する問題を解いていただきます。そうすることでどんどん慣れていただき、自然に知識を身につけられます。それを７日間繰り返すことで、本書ではルールを覚えるところから、９路盤（実際より小さい碁盤）をマスターするところまでのカリキュラムになっています。　
　囲碁をすることで、様々な効能も報告されています。集中力や判断力が身についたり、大局観という全体をふかんしてみる能力や、バランス感覚が育つとも言われています。また脳の活性化につながるという医学的な実証もあります。そして何よりどんなレベルでも、それぞれの楽しみを感じることができる利点があります。囲碁で出会う縁を「碁縁」と言いますが、この本を手にとっていただいたのも何かの碁縁です。ぜひ囲碁をはじめてみませんか。

囲碁棋士　王唯任