はしがき
中盤戦の攻防は、一局の碁の醍醐味です。「攻」と「防」、攻めとシノギ、サバキがせめぎ合って、そのなかから形勢の優劣が定まっていきます。攻め方が巧みであれば、確実に利益があがり、碁を優勢(勝勢)にすることができます。では、巧みな攻めとはどのようなものでしょうか。攻める方向をまちがえれば、たとえ見映えはよくても効果があがりません。正しい方向から攻めれば、必ずなんらかの得が得られるのです。また石が競り合ったとき、注意して急所と手筋に気を配ります。急所をはずし、筋が悪ければ、攻めが攻めにつながりません。方向はいわば全局からの配慮。急所と手筋は比較的部分に属するテクニックといえます。車の両輪のようなもので、方向も急所・手筋も、どちらも欠かせません。 実戦に際しては、巧みさとは別に、精神面も大事になるでしょう。力強さと冷静さ──この二つが、碁のほかの分野同様、攻めにも望まれます。