打ち込みとサバキで共通するのは、相手の石数が多いことです。従って正面から戦ってもうまくいかず、変化が必要になってきます。別動隊に相手を引き寄せ、そのスキに本隊が活動するというような打ち方です。これを囲碁で言うと「捨て石」といってよく、相手の勢力圏で捨て石を巧みにできれば、一気に優勢が築けます。
本書の内容は小目定石からできる模様や構えに対する侵略法が中心です。まず第1章のテーマは定石後の打ち込みです。よくできる定石後の形にタイミングよく打ち込んで得する方法を解説します。次の2章では、シマリのある周辺を荒らすテクニックを指導します。そして第3章〜第5章までは形を整える技や、弱点をついて得をする方法、さらに捨て石で華麗にサバく打ち方をお伝えします。どれも覚えて得するテーマなので、ぜひご期待ください。
本書の原典は日本囲碁連盟発行の月刊誌「囲碁研究」の付録に連載した「打ち込み、サバキの達人シリーズ」です。テーマ図までの途中で手直し図や参考図を加え、図を大幅に増やしました。碁盤に並べていただければ、打ち込み、サバキだけでなく、序盤から正しい打ち方がしっかり身につきます。なお、シリーズ5の「打ち込み、サバキのテクニック(上)」もご好評をいただいております。ぜひ本書とともに上巻もご購読いただき、ワンランク上の力をつけてください。
本書「はしがき」より |