二連星、三連星に代表される星打ち布石の研究をいたします。この布石の特徴は碁盤を広く使ったスピード感にあります。大所に先行して模様や厚みで一局打とう、という発想で着手を選ぶことが多いのです。弱点としては地に甘く、三々に入られると容易に実利を奪われます。もっとも三々に打ち込まれるのはおりこみ済みで、相手を隅に押し込めて味方は大模様を作って圧倒する、という布石作戦を採用することもあります。当然ながら相手はその模様に入ってきますが、そのときがこの布石の重要ポイントなのです。味方の勢力圏に入ってきた石をうまく攻めることによって、模様を確定地にしたり、弱石をどんどん追及して相手の構えを破壊したりという成果を得て優勢を築くのです。 プロ棋士で星打ちの代表選手は武宮正樹九段です。盤上に大模様を描き、夢とロマンのある布石作戦を展開します。ただ、他のプロ棋士で星打ちを得意とする人は少ないようです。ロマンでは生計が立たないので、当然小目などの地に辛い布石が多くなります。一方アマは碁を楽しむ"権利"があります。そこで思い切った星打ち作戦を実行してみることをお勧めします。お相手を圧倒し、豪快に勝って爽快な気分を味わいましょう。
(本書の「はしがき」より抜粋) |