打ち込みは早く入りすぎると中で小さく生かされて、強大な厚みを作られます。また、遅すぎると入った石が攻められて全局的に悪影響を及ぼしてしまいます。大切なのはまずタイミングを見計らうことです。本書ではこの碁形になったら敵陣に入るべしということがはっきり分かるように具体的に解説いたします。
また、相手の優位な場所に入り込むのですから、うまく治まったり脱出したりするテクニックが必要になります。なんだか難しそうだとお思いになるかもしれませんがご安心ください。打ち込みにも定石や常型というパターンがあって、それを活用すれば意外と楽にサバけるものなのです。本書では実戦で現れやすい配石で、成功する打ち込みのパターンをお教えしております。一度覚えてしまえば、応用が利きますのできっと打ち込みが得意になるでしょう。
打ち込みの後は接近戦についてお話いたします。ところで、接近戦に関して意外と教わることが少なくて、しかも大切な打ち方に"先手を取る"ということがあります。戦いの最中に手を抜くわけにいかない。でも相手に先回りされたくない。そんな急場があるときに先手を取る方法を心得ていれば、局面をリードできて味方のペースで打ちまわすことができます。他の棋書ではあまり教えていないこの「先手の取り方」を本書でぜひ身につけてください。もちろん接近戦に勝利するキリチガイのテクニックや利き筋の活用なども分かりやすく解説いたしますので、戦いに自信がついてきます。
(本書の「はしがき」より抜粋)
石倉昇 |