大ゲイマジマリの頭に白１とツケる手をＡＩは多用します。クリックミスかと思ってしまうような一手ですが、これは「黒の応手しだいでは大ゲイマジマリを凝り形に導こう」という意図なのです。

黒１の外ハネなら白２とハネ返し、黒３、５に白６と切って８のアテまで。続いて黒が２にツギなら、白ａとシチョウにカカえて大成功。また黒１で２のヒキなら、白ｂのツケが大変有力な後継手段です。

黒１の内ハネなら白２とオサえます。黒３、５が最強の応手ですが、白６の切りから８とノビるのが的確な後継手段で、白16までが代表的なワカレ。白充分打てる競い合いで、の仕掛けは成功しています。

小ゲイマジマリに対する肩ツキはＡＩの常套手段ですが、大ゲイマジマリに対しても黒１と肩を衝くことがあります。そして白２の後の次の一手が常識を覆す、全局的視野に立った一手でした。

ＡＩが打ったのは黒１のオサエ。二子の頭をハネる白２を誘発するので、従来の常識では大悪手とされていましたが、黒７まで左辺で確定地を得て、白８の時に黒９に回って良し−卓越した大局観でした。

黒１のトビは常識的な一手ですが、白２、４のワリツギに黒５が省けず、白６の好点に回られては芳しくないというのがＡＩの判断。左辺がスソアキなので、左上の黒の厚みが働き場所を失っています。

白１、３の強硬手段に対し、黒が正しく打てば優勢を築くことができるのですが、そのためにはとても柔軟な考え方が必要です。ちなみに黒ａのハネは白ｂと飛ばれ、良い結果を得ることができません。

黒１のスベリは白２から４のコスミで左右を分断され、苦戦に陥ります。黒５から11まで左辺を生きることはできますが、白12で隅を生きられてみると、中央の黒三子が浮いてしまっています。

慌てず騒がず、黒１とノビるのが冷静な大局観。白２で三子を取られてしまいますが、それでいいのです。黒３のカケが先手で決まり中央が止まっているので、黒５と構えて下辺が黒地に。優勢確立です。

黒１、３の打ち込みに対し白４、６とワタるのは古くからある手段で、黒15までが定石とされてきました。しかしＡＩは「右上から中央にかけて黒の厚みが断然有利で圧倒的に白が悪い」と断を下しています。

ＡＩによれば、白１とマガる一手だとのこと。黒２には白３のアテから５とハネて調子をつかみ、黒10までと換わってから白11、13のワタリ。白15まで頭を出しているので、白が充分に打てるワカレです。

黒１、白２を換わってから黒３なら、白がワタることはできません。しかし白２に石が来たことで右上の黒が薄くなっているので、白４から10まで、上下を別行動して白悪くないというのがＡＩの判断です。

ＡＩ手法の代名詞とも言えるダイレクト三々と、シマリへの最新アプローチ方法がテーマ。現在の布石における基礎となる知識を吸収していただきます。

プロ棋士を驚愕させた、ＡＩ流最新定石の数々を紹介。星布石の新型を９テーマ、碁敵の知らない即戦力の新型を９テーマなど、本ソフトの核となる一巻です。

ＡＩが人間に対し最も優っているのが、全局を視野に入れた大局観。その深淵なバランス感覚を、アマの実戦に現れやすい局面をテーマに伝授いたします。

部分的には俗筋でも、出来上がりのワカレは「全局的に見て簡明で満足」。そうしたＡＩ流戦法や、急場を見抜いて先着するテクニックを学んでいただく一巻。

第３巻と同様、ＡＩの卓越した大局観を鑑賞・学習していただく一巻ですが、こちらは接触戦に比重を置いた内容で、フットワークの軽さと鋭さがテーマです。

第１〜５巻の内容がどれくらい身についているかを確認する選択形式の問題集。間違えた問題は本編に戻って再学習ー最終的な目標は全問正解！